宝塚御贔屓偏愛日記

宝塚歌劇団に関して狭く深い偏愛を語るブログです。

ハバナでのキスのこと。(ガイズ&ドールズ)

ハバナで酔ったサラがスカイにキスをする場面。

演目が決まった時から某チューブで初演だったかリカさんのだったか忘れたけどその場面を見て、これをみちふうで…ってドキドキして楽しみにしていました。


そしてもちろん期待を裏切らないときめきを与えてくれましたよ、みちこスカイ!


キスの後のスカイの表情が秀逸なんですが、私はね、あれはサラからキスをされたから…というところがポイントなのではないと思っているんです。みちこスカイが表現しているのはそういうことじゃないと思う。


それまでスカイは一度も本気の恋をしたことはなかったわけです。

ネイサンとのチーズケーキの場面でスカイが言う。


「(女なんて)欲しい時にあればいい。」


この台詞、「いればいい」ではなく「あればいい」なのが重要です。

スカイは女性の人格なんてものは尊重しておらず、欲求を満たしてくれるだけの、綺麗なアクセサリーみたいな「物」としてしか、女性をみなしてないわけです。


恐らくスカイがそれまでにつきあって来た女性には堅気のお嬢さんはいなかったことでしょう。

水商売や踊り子など、玄人といっていい女性たちとばかり後腐れのないつきあい方をして来たはず。

そんな女性たちならば、女性の方からスカイにキスをして来たことなど何度もあるはずなのです。

恐らくハバナでもダンサーのはるこちゃんと一夜を共にしていたら、はるこちゃんからキスをしてきても全然おかしくない。


だから私は、みちこスカイのあの表情は、サラからキスをしてきたということに対する反応ではないと思っています。

もしそうなら、キス直後にスカイはサラの方を見て驚きの反応を見せると思うのですが、あの場面でスカイは一貫して下手の方、サラとは逆の方に顔を向けたままです。サラがキスの後ふらついて腰を支える時だけ少しサラの方を向きますが、その後はまたすぐに視線を下手に戻しています。

これはスカイが見つめているもの、意識がとらわれているものが、自分の中にあるということの表れでしょう。


あれは、あの時のキスによってスカイが今までに感じたことのない初めての体感を覚えたということだと思うのです。

俗に電流が走るとか、ビビッと来るとかいうあれです。

本当に好きな人からは、たとえば二の腕に軽く指を触れられただけで感じてしまったりするという。

「今まで数々の女としてきた行為は何だったんだろう…あんなのは本当のキスじゃなかったんだ…」そういう初めての衝撃がスカイに起こったのだと、そう私は思いながら見ていました。


ハバナより前の、教団で初めてサラを口説く場面で、スカイが「恋はカガクと…」と口にしますよね。

あるフォロワーさんから、あのカガクは科学ではなく化学で、英語のchemistryには体を含めた他人との相性、関係性という意味が含まれる、つまり化学反応なんだという説明を聞いてからはますます腑に落ちまして、その後ハバナのキスシーンを見た時は、

「ああ、今化学反応が起きたんだね。自分で言ってた通りになっちゃったね。」

と思い、より味わい深くなりました。


とまあ、色々御託を並べても並べなくても、あの場面のみちこスカイは絶品。

そしてそれ以外も絶品。



このブログを開設したきっかけは、この話を書きたかったからなので、とてもすっきりした!

ツイッターだと長い考察はしにくいですもんね。

個人的な感想をここまで読んでくださる方がいらっしゃいましたら、なんという奇特な…いやいや、ありがとうございましたの思いです。